【ものづくり再生】Factelier(ファクトリエ)が日本の縫製工場を再生する!

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Made in Japanの優れたモノづくりを再生させたい!

急成長するアパレルブランド「ファクトリエ」。

メイド・イン・ジャパンが売り物だが、代表の山田が全国各地を訪ね歩いて見つけた“スゴイ縫製工場”の直販という異色のブランドだ。

今や日本の衣料品の国産比率は3%まで激減。縫製工場が次々と消える中、海外の有名ブランドが生産を委託するほどの技術を持つ工場も多い。

日本の優れたモノづくりを再生させたいと山田が立ち上げたのが「ファクトリエ」なのだ。

商品のタグには生産する工場の名前を入れ、しかも販売価格を工場が決めるユニークな仕組みを導入している。

「モノづくり再生」に立ち上がった山田の情熱に迫る。

出典:カンブリア宮殿 2016年4月7日 放送

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メイドインジャパンのものづくり見学ツアー

~カンブリア宮殿より~

繊維産業が盛んで、ジーンズ発祥の地でもある岡山県倉敷市。そこから約30分のところに、創業120年のタケヤリ(公式サイト)という会社があります。帆船などで使われている帆布を織っている会社です。

その会社では、重布織機(じゅうふしょっき)という織物機で、国内で最も厚い1.45mmの帆布を織っています。年代物のため生産性は低いが、製品の丈夫さは折り紙付きだそうです。

こうした工場見学ツアーは数年前よりブームになっていますが、これも”メイドインジャパンの ものづくり”が見直され、「生産現場を見てみたい!」という人が増えてきたからでしょうか?

工場で働いている職人の方々も、自分が作った商品が使われているところを見たり、製品の生産工程に興味を持ってもらえることに、楽しさを感じているようです。

出典:http://factelier.com/
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世界品質の ものづくりで急成長!

このツアーを企画したのが、東京銀座にあるFactelier(ファクトリエ)というアパレルブランド。2012年に創業し、1年目は1500万円だった売り上げが、4年目の現在では10億円ペースと急成長しています。

ファクトリエはネット通販専門のブランドです。

「銀座フィッティングスペース」(公式サイト)という店舗にはファクトリエの全商品が置いてあり、手触りやサイズを確認できるスペースになっています。

しかし、その場で気にいった商品を見つけても、持ち帰ることはできません。

お店にあるタブレットで、買うことはできますが、買ったものは後日発送となるようです。あくまでフィッティングスペースなので、在庫は別の場所にあるようですね。
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ファクトリエの魅力とは?!

店舗に訪れているお客さんに、ファクトリエのどんなところがいいのか聞いてみました。

女性客Aさん:
「同じものを買うんだったら、ファクトリエの方が生地も品質もいいので。お買い得感があるというんでしょうか。」

女性客Bさん:
「国産というのが魅力的だなぁと思って。」

パーカーを試着した男性客に、店員が商品の特長を説明すると
「裏地の幅を厚めにとっているので、風が吹いてめくれても格好悪くないんですよ。」

男性客の沼田さんは、Factelierの大ファンで、これまでにシャツやパンツなど何枚も購入していました。

ファクトリエの魅力を尋ねると、

「このTシャツの襟元が結構な回数着てるけど、へたれないんですよ。あとはジーパン。買った方がいいですよ、これ(笑)。(ポケット部分を指さし)この辺の縫い合わせとかが、めちゃめちゃ丁寧に作ってあるんですよね。」

そして沼田さんが、店舗で試着したパーカーをネットで購入すると、注文ページの一番下に、手書きのメッセージが書かれていました。

”世界に誇る日本の一流工場が丁寧に作らせていただきます。”

ファクトリエは中間業者を通さず、ネットで販売する工場直販ブランド。現在34の工場と提携しており、その多くはヨーロッパの高級ブランドに商品を卸す高い技術を持っています。商品のタグには、作った工場の名前を記載し、その高い技術を売りにしているそうです。

ファクトリエのホームページを見ると職人の顔や製造のこだわりなど、工場のストーリーが写真付きで載っています。

「この方が作ってらっしゃってて、こういう機械を使ってて、そういうのを知ると、このジーンズしか履けないんですよ。」

と沼田さん。

ファクトリエの商品はシンプルなデザインのものが多く、形よりも素材や縫製の技術、作った職人のストーリーに惚れ込み、ファンになる人が多いようですね。
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ファクトリエの取り組み

ファクトリエではモデルを起用していません。コスト削減のために、メンズのモデルは全て社長の山田さんが行っています。

山田さんに日本の工場を前面に出したブランド作った理由を尋ねました。

「日本の服は着心地が良く、腕が回しやすいパターンや、肌に当たる部分が優しく縫われていたり、目に見えない所にたくさんの細かい配慮があります。メード・イン・ジャパンが減少しているなら、すぐにでも手をつけようと始めました。」

衣類の国内生産比率は25年前には50%近くありましたが、工賃の安い海外に拠点が移り、現在ではわずか3%に減少。この危機的状況をなんとかしようと、山田さんはファクトリエをつくりました。

ファクトリエと提携する34の工場は山田さんが足で探して見つけてきたそうです。最初に提携したのは、シャツの縫製工場HITOYOSHI株式会社(公式サイト)です。

山田さんは工場長や社長だけでなく、職人の方とも気さくに話をしていました。気心がしれた関係になっているようです。山田さんの人当たりの良さがうかがえます。

職人の方に話を聞くとファクトリエの仕事は、ブランド名が入るということで、責任感が出て、仕事のモチベーションアップにも繋がっているそうです。

また、山田さんは、やる気を引き出す契約の仕組みも考えました。

・商品の販売価格を工場が決める。

・中間業者を省くことで、工場の取り分を5割にした。(一般的なブランドは2割)

このように、工場は売れる価格で、いいものを作れば儲かる仕組みになっています。それにより、工場の意識が変わり、どういう縫い方やデザイン、シルエットがいいかを考えるようになったそうです。

例えば1万3千円のシャツをみると、襟の布が3枚重ねになっていたり、ボタンが高級な貝ボタンが取り付けてあります。

実際の縫製現場を訪ねると、襟の部分一つとっても、襟のカーブに沿って同じ幅で縫い合わせる熟練の技を見ることができます。

ボタンを取り付ける際も、生地とボタンの隙間を広げ、高さを出すことにより、片手でも楽に留めれるようになります。

工場は、こうした高級ブランドで培った技術を商品に取り入れ、その手間に合った価格で販売することができます。更に、どれくらいなら買ってもらえるのか考えるようになり、販売価格への意識も変わってきたそうです。
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工場と客を結ぶ橋渡し

ファクトリエでは工場とお客さんを結ぶ活動も行っています。

銀座のスペースではお客さんを招いて、新作スニーカーのお披露目会が開かれていました。そこで運動靴で有名なムーンスター(公式サイト)の江藤さんがスニーカーの作り方や、こだわりを熱く紹介しています。

「スニーカーは実は革靴と同じように、熟練の職人の力がないと、できないというのが、国産のヴァルカナイズ製法の良さに繋がっています。」

ヴァルカナイズ製法とは、スニーカー本体とゴム底を接着するときに使う製法のことです。ゴム底を貼ったスニーカーを巨大な釜に入れ、130度の高温でおよそ1時間加熱して、本体と靴底を接着します。こうすることでゴム底が剥がれにくくなります。ただし大型の設備が必要なため、同様の製法を取り入れている工場は、国内で数社だけです。

こうした技術や縫製の現場を映像で紹介し、顔を突き合わせて説明することで、より作り手の技術や想いがお客さんに伝わるそうです。

「高級ブランドに比べたら、値段的にはそんなに高くないのにクオリティは高い。工場のこだわりも価値のあるものとして、ファクトリエはいいと思います。」

創業4年のアパレルベンチャーが目指しているものを山田さんに尋ねると、

「メイド・イン・ジャパンで日本から世界ブランドをつくりたい。衣食住における日本製の価値は日本文化そのものだと思います。」

このMade in Japanのサイトで紹介している、国産にこだわった商品を作ってる方々も、皆さん同じようなことを仰っています。
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ファクトリエ社長の 山田さん

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出典:Bizpow

名前:山田敏夫(やまだとしお)

生年月日:1982年10月20日(2016年現在 34歳)

出身地:熊本県

実家は100年続く老舗婦人服店の次男として生まれました。

転機は大学時代にフランスへ留学し、グッチでアルバイトをしたときのことです。そのとき同じ店で働いていた女性店員に忘れられないことを言われました。

「日本には本物のブランドがない」

エルメスが元々馬具の工房であったように、海外の高級ブランドは職人の手作りからはじまり、長い年月をかけてブランドとなりました。そうしたアパレルブランドは日本には無いと言われたそうです。確かに歴史がある世界的に有名な高級ブランドってないかもしれませんね。

山田さんは「それなら俺がつくる!」と、職人の 技術が生きるブランドFactelierを立ち上げました。

「ファクトリエは、世界の一流ブランドを作っている工場を厳選しているので、クオリティとしては世界の一流ブランドに負けていません。しかし価格は工場が決めて、リーズナブルなのが特長です。」

日本だとMade in Italyや、Made in Franceなどが高級なイメージがありますが、海外ではMade in Japanのものが高く評価されているのかもしれませんね。
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ファクトリエ第一号のシャツが売れるまで

山田さんが最初につくったのは白いシンプルなシャツ400枚。ダンボール15箱分だったそうですが、すべて6畳の自分のアパートに納品したので、横には寝られないのでダンボールの隙間に寝ていたそうです?!そして売れれば少しづつ日がさしてきていたようです(笑)。

安くていいものを作ったのだから、必ず売れると思っていましたが、実際は中々売れなかったようです。その中でも効果的だったのが、無料で着こなしセミナーを企業に提案したことです。200社に電話をかけ、アポが取れたのはたった13件だけでした。そのセミナーの中で商品の良さをアピールしたことで、商品が完売することができました。

着こなしに興味がある人というのは、クオリティの高いものにも惹かれるのかもしれませんね。
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世界最高水準の工場を求めて

山田さんはこれまでに550社ほど訪問しているようですが、今も尚、月の半分くらいは提携する工場を探しています。地方で工場を探す場合は、タウンページが一番いいとか?工場はホームページを作っていないところが多いようです。

また飛び込み営業のような形で突然工場を訪問する訳は、工場のありのままを見たいからだそうです。

岩手県二戸市にある三和ドレス(公式サイト)は、海外有名ブランドの冠婚葬祭用スーツやドレスを作っています。

山田さんはそこにあるスポンジングという機械に目が止まりました。スポンジグとは輸送の間に伸びた生地に高熱の蒸気をあて、本来の状態に戻す工程です。3%くらいはどんな生地も短くなるそうです。スポンジグした生地は縫製後も型崩れし辛いそうです。

こういったひと手間かけた工程を取り入れていることも、工場のストーリーになりますね。最後に見に行った場所はトイレでした。技術面だけでなく整理整頓など衛生面も検討のチェックポイントに入っているそうです。

今回新たに提携することが決まった工場は秋田県横田市にある日貿産業(公式サイト)です。

山田さんがこの工場で作ろうとしているのが、トレンチコートです。日貿産業は国内外のブランドのコートを作る一流の工場です。

また山田さんが惚れ込んだもう一つのポイントが、工場に20ヵ所以上貼ってある標語だそうです。目につくような場所にいくつも貼ってあることで、日貿産業としての道がちゃんと記されていると言っています。

日貿産業社長の村田さんが提携を決めた理由は、ファクトリエのネット販売に今後の希望をもったそうです。地方の工場もファクトリエのネット販売の販路に希望をもっているようです。
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やらないリスクより、やるリスクを取れ!

ファクトリエは当初、商品を100%買い取っていたようですが、それでは工場からすると”いい商社になるだけだった”ので、50%の買取に変えました。そうすることで、工場側も適正な値段なのか?と主体的に考えるようになったそうです。

山田さん曰く

「やらないリスクとは、工場が今と変わらない毎日になるので、社員が辞めたり、新入社員が入らないとか色々なリスクをはらんでいます。でも、やるリスクは計算できます。工場の原価を計算すると、やるリスクは10万円20万円くらいで、むしろ最近は半分買ってくれてありがとうと言われます。」

また、地域創生について聞かれると、

「地方創生ではなく、私たちが世界ブランドになれば結果として、提携している工場や、これから増えていく工場が、全て元気な状態になっているので、そこを目指すと、日本のものづくりが、もう一回安定していくと思っています。」
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工場での後継者不足

地方の工場にはある共通した悩みがあります。それは毎年若い人が数人入ってくるが、いろいろな理由で去っていくことだそうです。伝統工芸などと同じく、職人の高齢化が進み、後継者不足が問題となっているようです。

ファクトリエはこの問題にも動き出しました。銀座のショールームで開かれたのは、提携工場と東京の学生を集めた就活のお見合いイベント。アパレルに興味持っている80名の若者に向けて、提携工場9社がアピールしました。参加した企業は

「若い方にうちのブランドを知ってもらえたのは大きいですし、ファクトリエさんには一緒になって引っ張っていただきたいと思っております。」

そう語ったのは、京都府 与謝郡にあるクスカ(公式サイト)という会社の楠社長。手織りの生地でネクタイをつくっている会社です。以前は仕事が減り、求人を出すことができなかったようです。しかしファクトリエと仕事をするようになり、20年ぶりに20代の若者を採用することができました。

山田さんの後継者不足への取り組み

「ものづくりに向いている人は、人と話すのが苦手な子で、コミュニケーション能力が高い子は向いていない。コミュニケーションが下手で地味な作業もいとわない子は長く続いています。

日本から世界ブランドをつくるためには、若返りが必要なので、その循環は率先してでもやっていかないといけないと思います。」

と言っています。

編集後記
山田さんに、意地悪な質問をした。
「日本発の本物のブランドって必要なんでしょうか?」
彼は困った顔になり、しばらくして「そんなこと考えたこともありませんでした。」と答えた。
正解だと思った。正統的な挑戦者は「果たして自分の挑戦に意味があるのか」という迷いなどなく、逡巡もしない。まず行動に移す。
プレゼントされたネクタイを、さっそく収録に使わせていただいた。気をつかってそうしたわけではない。気に入ったからだ。
イケメンでシャイな挑戦者は、誠実に、果敢に、着実に目標に近づいている。
~逡巡しない挑戦者 村上龍~

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まとめ

山田さんは売り上げが10億円にもなっているのに、コストダウンの為に商品モデルをやっています。また提携工場の探索も従業員にやらせてもいいのに、自らの足で探しています。こういった地道な努力が、現状の成功に繋がっているように思えます。

今後も10年20年と、高品質な商品をつくり続けて欲しいと思います。その歴史の積み重ねで、世界の一流ブランドと肩を並べる存在になって欲しいと思います。
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