「能登を応援したいけど、何をすればいいかわからない」
2024年1月1日の能登半島地震から2年以上が経ちました。義援金や寄付も大切ですが、最も継続的な復興支援になるのは「能登の企業・職人から買い続けること」です。
この記事では、地震の被害を受けながらも能登の地で操業・営業を続ける企業と職人を5つ紹介します。購入・訪問・SNSでの発信——どんな形でも、それがそのまま職人の生活と技術の継承を支えます。
📋 この記事で紹介する5社
① 奥能登塩田村(珠洲市)|日本唯一の揚浜式製塩
| 所在地 | 石川県珠洲市清水町1-58-1(道の駅すず塩田村) |
| 現在の状況 | ✅ 2025年4月より年中無休で営業再開・通販稼働中 |
| 営業時間 | 8:30〜17:30(年中無休)TEL:0768-87-2040 |
| 公式通販 | enden.shop |
日本唯一・国の重要無形民俗文化財に指定された揚浜式製塩
珠洲市の仁江海岸で行われる揚浜式製塩は、日本に現存する唯一の伝統製塩法で、2008年に国の重要無形民俗文化財に指定されています。朝5時に海水を汲み上げ、塩田の砂に撒いて8時間以上天日乾燥させ、平釜で約6時間煮詰めて結晶化させるというもの。年間の作業可能日数は約100日のみで、600リットルの海水から生まれる塩は約120kgという希少な製法です。
現在の浜士(製塩の責任者)は登谷良一氏。石川県から「ふるさとの匠・伝統の匠」として認定されています。また珠洲市の揚浜塩田は世界農業遺産「能登の里山里海」の構成要素のひとつにもなっています。
能登の塩の特徴
揚浜式で作られた塩はミネラルバランスが豊かで、塩辛さの中に旨みと甘みがあります。寒流と暖流が混ざり合うプランクトン豊富な珠洲の海水から生まれる独特の風味は、化学的に精製された塩では再現できません。揚浜塩を使ったラーメン・フロランタン・塩飴なども通販で購入できます。
✅ 購入方法
道の駅すず塩田村(現地)または公式通販(enden.shop)で購入可能。5,000円以上で送料無料。奥能登揚浜塩50g・400円〜
② 珠洲焼の窯元(珠洲市)|3度の震災を越えた幻の古陶
| 所在地 | 石川県珠洲市各所(複数の窯元・工房が点在) |
| 現在の状況 | ✅ 一部窯元が体験・販売再開。窯の再建継続中 |
| 体験 | 珠洲市陶芸センター:月1回・1,500円〜・要予約 |
| TEL | 0768-82-3221(珠洲市陶芸センター) |
| 参考記事 | 珠洲焼完全ガイド |
500年の眠りから復活し、また立ち上がった
珠洲焼は平安時代末期から室町時代に栄え、15世紀に忽然と姿を消した「幻の古陶」です。約500年の眠りから1976年に復興を遂げましたが、2022年・2023年・2024年と3度の地震に見舞われました。それでも窯元・作家たちは諦めず、窯を再建し土を掘り炎に向き合い続けています。
釉薬を使わない「焼き締め」技法により1,200〜1,300度の高温で焼かれた器は、深い灰黒色と素朴な風合いが特徴。使うほどに艶が増し手に馴染む「育つ器」として知られています。珠洲焼を購入することは、震災で被害を受けた珠洲市の職人の生活と日本唯一の焼き物文化の継承を直接支えることになります。
✅ 購入方法
珠洲市内の窯元・各作家のオンラインショップ・SNSで購入可能。箸置き・小皿2,000円〜、カップ4,000円〜。詳しくは珠洲焼完全ガイドをご参照ください。
③ 高澤ろうそく(七尾市)|石川県唯一の和ろうそく製造元
| 仮店舗住所 | 石川県七尾市一本杉町59(2025年11月移転・最新住所) |
| 現在の状況 | ✅ 仮店舗で営業中・本店再建工事中・通販稼働中 |
| 営業時間 | 9:00〜17:00(水曜・日曜定休)TEL:0767-53-0406 |
| 公式サイト | takazawacandle.jp |
| 公式通販 | takazawacandle.stores.jp |
地震からわずか19日後に試験操業を再開・NHKニュースでも取り上げられた復興の象徴
明治25年(1892年)創業。石川県内で唯一、七尾和ろうそくを作り続ける老舗です。国の登録有形文化財に指定されていた重厚な土蔵造りの本店は、2024年1月1日の地震で前部分が崩れ落ちました。断水・停電・従業員の被災という困難な状況の中、井戸水と用水が使えることを確認し、地震からわずか19日後の1月19日に試験操業を再開。2024年3月14日には仮店舗をオープン、2025年11月に一本杉町59番地の新仮店舗へ移転し、現在は本店の再建工事も進めています。
この復興への取り組みはNHKニュースWEB(2024年3月19日)でも取り上げられ、「まだまだ時間がかかりますが、再建に向けて動き出しています」という言葉とともに全国に伝えられました。
ミシュラングリーンスターの店でも使われる和ろうそく
植物性の原料(ハゼ蝋・米ぬか蝋・菜種蝋・パーム蝋)から作られる和ろうそくは、炎が大きく安定しており、ミシュラングリーンスター認定レストランでも使用されています。石川県では仏壇文化が根付いており、雪に閉ざされた冬に花の代わりとして絵ろうそくを仏壇に供える風習が今も続きます。和ろうそく絵付け体験も公式サイトから予約可能です。
✅ 購入方法
公式通販(takazawacandle.stores.jp)または仮店舗(七尾市一本杉町59)で購入可能。菜の花ろうそく1号16本入660円〜。最新の営業スケジュールはInstagram(@takazawarousokuten)でご確認ください。
④ 輪島キリモト(輪島市)|200年以上の木と漆の仕事・ルイ・ヴィトンも認めた技術
| 所在地 | 石川県輪島市杉平町大百苅70番5 |
| 代表 | 7代目 桐本泰一(大学でプロダクトデザイン専攻後、輪島へ帰郷) |
| 現在の状況 | ✅ 操業継続中・公式オンラインショップ稼働中 |
| 公式サイト | kirimoto.net |
| 公式通販 | kirimoto.theshop.jp |
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で「不屈の桐本」として紹介
1月下旬から1か月半にわたり、NHKのクルーが桐本泰一氏をはじめ複数の職人の震災後を密着取材。2024年3月11日放送のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀〜能登のプロフェッショナルたち〜」で「不屈の桐本」として紹介されました。番組内では輪島塗を愛する男が「不屈の器」に込めるものとして、震災後も輪島の漆文化を守り続ける桐本氏の姿が描かれています。NHKオンデマンドでも配信されています。
ルイ・ヴィトン・とらやとコラボした輪島塗の革命児
江戸時代後期から200年以上にわたり「木と漆」の仕事に携わってきた桐本家。7代目・桐本泰一氏は大学でプロダクトデザインを専攻し、企業でオフィスプランニングに携わった後、朴木地業の弟子修行を経て輪島へ帰郷。2015年に商号を「輪島キリモト」とし、伝統の技法を守りながら、老舗和菓子「とらや」や世界的高級ブランド「ルイ・ヴィトン」とのコラボレーションを実現しました。
能登半島地震後、建築家・坂茂氏が考案した紙管仮設住宅の図面を見た桐本氏は「これで仮設工房ができる」と即座に提案。仮設工房を設置して被災した職人たちの仕事場を創出し、輪島塗復興の第一歩を踏み出しました。2026年1月には「輪島と漆」(亜紀書房)を20年ぶりに出版するなど、輪島の漆文化を未来へつなぐ発信を続けています。
輪島キリモトの技術的特徴
独自技法「蒔地」(傷がつきにくい下地処理)を用いた器は、日常使いできる輪島塗として30〜40代にも人気があります。木地・塗り・デザインを一貫して手掛ける輪島では数少ないブランドで、器から家具・建築内装まで手がけます。日本橋三越本店でも定期的に展示販売を行っています。
✅ 購入方法
公式オンラインショップ(kirimoto.theshop.jp)・日本橋三越本店などで購入可能。楕円箸3,300円〜、漆椀1万円〜。
⑤ 田谷漆器店・WAJIMANURI VILLAGE(輪島市)|震災翌日に再建を宣言した輪島塗の塗師屋
| 所在地 | WAJIMANURI VILLAGE:石川県輪島市(仮設工房・ギャラリー・宿泊施設 mira-co) |
| 代表 | 田谷昂大(たや こうた) |
| 現在の状況 | ✅ 2025年9月よりWAJIMANURI VILLAGE稼働・工房見学・購入・宿泊可能 |
| 展示販売会 | 2026年3月20〜26日:ハイアットハウス金沢3階「ART OF Lacquerware」開催中 |
| 公式サイト | wajimanuri.co.jp |
工房・事務所が全壊した翌日に再建を宣言
田谷漆器店は2024年1月1日の地震で事務所・工房が全壊、建設中だったギャラリーは焼失という壊滅的な被害を受けました。しかし代表の田谷昂大氏は地震の翌日に再建を表明。「先代の『輪島塗の未来を作るのは若い世代』という言葉から、僕にできることをやろうと心に決めました」と語り、輪島塗業界全体の復興支援クラウドファンディングを立ち上げました。
2025年9月からはトレーラーハウスを改装した仮設工房「WAJIMANURI VILLAGE」を稼働。輪島塗の製造工程見学・商品購入・飲食・宿泊(mira-co)が可能な能登の新たな観光拠点として生まれ変わりました。NTTドコモビジネスなど大手企業との実証実験も進め、輪島市への観光客誘致に取り組んでいます。
岸田首相からバイデン大統領への贈答品に選ばれた輪島塗
2024年4月10日(現地時間)、岸田文雄内閣総理大臣がホワイトハウスでバイデン大統領夫妻に手渡した贈答品は、田谷漆器店が制作した輪島塗のコーヒーカップとボールペンでした。コーヒーカップは能登から見える夜の海をイメージした青と黒のグラデーションに、蒔絵でバイデン夫妻のファーストネーム「Joe」「Jill」が刻まれています。
地震で工房・在庫のほぼすべてを失った直後の依頼でした。田谷代表は「限られた生産設備で時間も人も限られていて、クオリティーの高いものを出せるのかどうか毎日悩んでいました」と振り返ります。依頼から約3週間で、地元の職人たちと力を合わせて完成させました。贈答品発表後は国内外から注文が殺到し、2年近い待ちが生じるほどの反響となりました。東京新聞・日本テレビなど多数のメディアが報道しています。
国宝・重要文化財の修復実績を持つ確かな技術
田谷漆器店は総持寺祖院(石川県指定有形文化財)の修繕や、唐津くんちの曳山修復(ユネスコ無形文化遺産)など、文化財修復の実績を持ちます。伝統の技法を大切に守りながら、1つのものを仕上げるのに短くて半年、長くて5年かけるという徹底したものづくりを続けています。また金沢市中心部のレストラン「CRAFEAT(クラフィート)」では、輪島塗の器で石川県産食材の料理を楽しめます。
✅ 購入方法
公式サイト(wajimanuri.co.jp)で予約注文受付中(1年以内納品目標)。料理ベラ・まな板などの調理器具シリーズ2,000円〜、椀・カップ1万円〜(海外向けサイトでも購入可能)。送料無料・5年間無料メンテナンス付き(特選ストア商品)。
能登の企業・職人を応援する方法まとめ
| 方法 | 内容・効果 |
|---|---|
| 購入する | 売上が直接、職人の生活と技術継承を支える。最も継続的な支援 |
| 現地を訪れる | 観光・体験・飲食が地域経済に直結。「来てくれること自体が支援」 |
| SNSで発信する | 購入・体験した感想をシェアし認知を広げる |
| ふるさと納税 | 輪島市・珠洲市・七尾市への返礼品で継続支援 |
よくある質問(FAQ)
Q. 能登の企業の商品は今でも通販で購入できますか?
はい。本記事で紹介した5社はいずれも通販・公式オンラインショップで購入可能です。田谷漆器店は現在予約注文での受付(1年以内納品目標・送料無料・5年間無料メンテナンス付き)です。一部商品は生産数に限りがあるため、公式サイトで最新の在庫状況をご確認ください。
Q. 揚浜式の塩と一般的な塩の違いは何ですか?
揚浜式製塩は海水を砂浜に撒いて天日乾燥させ、平釜で炊き上げる伝統製法で、日本に現存する唯一の方法です。ミネラルバランスが豊かで塩辛さの中に旨みと甘みがあり、料理人やシェフにも愛用されています。一般的なイオン交換膜法の塩と比べて価格は高めですが、その希少性と風味から料理の味を一段引き立てます。
Q. WAJIMANURI VILLAGEとはどんな場所ですか?
田谷漆器店が輪島市に開設した仮設の輪島塗複合施設です。トレーラーハウスを改装した工房・ギャラリー・宿泊施設(mira-co)があり、輪島塗の製造工程見学・商品購入・飲食・宿泊が可能です。2025年9月より稼働しており、NTTドコモビジネスとの実証実験も進む能登観光の新たな拠点として注目されています。
Q. 現在、能登に観光で行くことはできますか?
はい、能登への観光は可能です。のと里山海道は通行可能で、珠洲市・輪島市・七尾市への道路も復旧が進んでいます。一部施設は営業状況が変わっている場合があるため、訪問前に各施設の公式情報を確認してください。「来てくれること自体が支援になる」と語る地元の方も多く、観光・体験・食事が地域経済の回復に直結します。
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