「大樋焼(おおひやき)」は、金沢で360年続く茶道具の焼き物です。九谷焼ほど名前は知られていませんが、京都の楽焼の流れをくむ茶碗として、茶の湯の世界で大切にされてきました。
この記事では、大樋焼の特徴と楽焼との違い、歴史、そして作品を見られる大樋美術館の料金・行き方・抹茶、遠方からの注文方法をまとめています。美術館やギャラリーの情報は、大樋美術館の公式サイトで確認しました(2026年10月18日)。
📋 大樋焼をひとことで
- 読み方:おおひやき
- 始まり:1666年(寛文6年)、金沢
- 特徴:ロクロを使わない手づくり(手びねり)と、飴色の「飴釉」
- 楽焼との関係:初代は楽家四代・一入の弟子。楽焼の流れをくむ唯一の脇窯
- 見られる場所:大樋美術館・大樋ギャラリー(金沢市橋場町)
大樋焼の3つの特徴

① 飴色に輝く「飴釉(あめゆう)」
大樋焼のいちばんの特徴は、あたたかい茶色に光る「飴釉(あめゆう)」です。大樋美術館の説明では、この飴釉は初代が金沢へ移るときに京都の楽家から贈られたものとされています。楽焼が黒や赤の茶碗で知られるのに対し、大樋焼といえばこの飴色です。
焼き方も楽焼と同じく、小さな窯で短い時間に焼き上げ、窯から取り出して急に冷やす方法です。この焼き方は楽焼と大樋焼だけに見られるとされています。
② ロクロを使わない「手びねり」
大樋焼はロクロを使わず、手で土を形づくり、ヘラで削って仕上げます。同じ形のものは二つとなく、手に持つとやわらかくなじむのが魅力です。
③ 茶の湯のための器
大樋焼は、加賀藩が茶道を広めるために生まれた茶道具の焼き物です。茶碗や水指(みずさし)などが中心で、飴色が抹茶の緑を引き立てます。現在は湯呑やぐい呑み、花器なども作られています。
大樋焼の歴史|1666年、茶人とともに金沢へ
大樋焼の始まりは1666年(寛文6年)です。加賀藩五代藩主・前田綱紀は、茶道を広めるため、京都から裏千家四代・仙叟宗室(せんそうそうしつ)を金沢に招きました。このとき、楽家四代・一入の弟子だった初代長左衛門が一緒に金沢へ来て、郊外の大樋村(現在の金沢市大樋町)の土で茶碗を作り始めました。これが「大樋焼」という名前の由来です。
仙叟はやがて京都に戻りましたが、長左衛門は金沢に残り、加賀藩の御用窯として大樋焼を受け継いでいきました。現在は十一代大樋長左衛門(年雄、1958年生まれ)が当主です。2016年に十一代を襲名し、2023年に恩賜賞・日本藝術院賞、2025年に日本藝術院会員となりました。父の十代(陶冶斎)は文化勲章を受章しています。次の十二代は、建築家としても活動する息子の奈良祐希さんです。
| 年 | 主なできごと |
|---|---|
| 1666年 | 初代長左衛門が仙叟宗室とともに金沢へ。大樋村の土で茶碗を作り始める |
| 江戸時代 | 加賀藩の御用窯として代々受け継がれる |
| 1990年 | 大樋美術館が開館 |
| 2014年 | 隈研吾さん設計の大樋ギャラリーと茶室「年々庵」が完成 |
| 2016年 | 年雄さんが十一代大樋長左衛門を襲名 |
| 2024年 | 能登半島地震で窯や歴代の作品が被害。修復と工房の再建に取り組む |
| 2025年 | 十一代が日本藝術院会員に。シンガポールにもギャラリーを開く |
出典:大樋美術館「大樋長左衛門窯の歴史」、同「大樋ギャラリー」、十一代大樋長左衛門 プロフィール、美術手帖「祈器」展(2024年)
大樋焼は、石川県が挙げる36の伝統的工芸品のひとつです。国や県の指定品目(輪島塗・九谷焼・珠洲焼など)とは別の20品目に入っていて、能登上布や加賀象嵌と同じ区分です(石川県「伝統的工芸品」別表)。
大樋美術館|作品を見て、歴代の茶碗で抹茶を

金沢市橋場町の大樋美術館は、大樋長左衛門窯の敷地にある美術館です。1990年に開館し、3つの展示室で、初代と仙叟の作品、歴代の大樋焼、大樋家とかかわった文化人の作品を展示しています。公式サイトによると、ミシュランガイドでは個人美術館として例のない一つ星を得ています。
隣の大樋ギャラリーは、建築家・隈研吾さんの設計で2014年に新築されました。十代・十一代・奈良祐希さんの作品を見て、買うことができます。茶室「年々庵(ねんねんあん)」では、選ばれた歴代の大樋焼の茶碗から好きなものを選び、金沢の和菓子と一緒に抹茶をいただけます(有料)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 石川県金沢市橋場町2-17(料亭「金城楼」の隣) |
| 開館時間 | 9:00〜17:00 |
| 休館日 | 年中無休(改修工事などで臨時休館あり) |
| 入館料 | 一般1,000円(抹茶付き2,000円) 小・中学生800円(抹茶付き1,800円) 抹茶のみ(呈茶券)1,200円 ※20名以上は団体料金あり。2026年4月1日改定、10月18日に公式サイトで確認 |
| 行き方 | 金沢駅からバス・車で約15分。北鉄バス「橋場町」停留所から徒歩1分 |
| 駐車場 | 1台分のみ(予約不可) |
| 予約 | 4人以下は不要。5人以上は公式サイトの団体予約フォームかメールで |
| 館内の決まり | 土足禁止(スリッパ)、館内の撮影は遠慮 |
| 電話 | 076-221-2397 |
出典:大樋美術館「アクセス」(料金・開館時間)、同「団体ご予約」(予約・駐車場・館内の決まり)、同「大樋美術館」、同「邸内茶室」
美術館のある橋場町は、ひがし茶屋街や主計町茶屋街に近い場所です。茶屋街の散策とあわせて立ち寄ると、金沢の茶の湯の文化をより身近に感じられます。
大樋焼の買い方
① 大樋ギャラリーで買う
新しい大樋焼は、大樋ギャラリーで見て選ぶのがいちばん確実です。十代・十一代・奈良祐希さんの作品のほか、両代がプロデュースする「大樋セレクション」もあります。
② 遠方からは公式サイトで選んでメールか電話で注文
公式サイトの大樋ギャラリーのページに、作家ごとの販売作品が載っています。作品名・番号・数量・届け先をメールか電話で伝えて注文すると、送料などを知らせてもらえます。
- 📞 電話:076-221-2397(9:00〜17:00)
- ✉️ メール:info@ohimuseum.com
- 🌐 海外へのお届け:送料を個別に計算するので、メールで相談
作品は一点ものが多く、店頭で先に売れてしまうこともあります。新しく作る場合は数か月かかることもあると案内されています。
③ 楽天市場(中古・骨董品)
楽天市場では、歴代の大樋焼が中古品・骨董品として出ています。作品を入れる木箱(共箱)や箱書きがそろっているか、どの代の作品かを、商品説明でよく確認してください。高価なものは、骨董の専門店に相談すると安心です。
石川県のほかの焼き物・工芸との違い
| 工芸品 | 特徴 | こんな人に |
|---|---|---|
| 大樋焼 | 飴色・手びねり・茶道具 | 茶道が好き・落ち着いた器が好き |
| 九谷焼 | あざやかな色絵の磁器 | 華やかな器が好き |
| 珠洲焼 | 釉薬を使わない黒い焼き締め | 能登を応援したい・素朴な器が好き |
| 山中漆器 | 木目を生かしたろくろ挽きの漆器 | 毎日使う椀や茶托を探している |
よくある質問(FAQ)
大樋焼の読み方は?
「おおひやき」と読みます。窯のある家の当主は代々「大樋長左衛門(おおひちょうざえもん)」を名乗っています。
大樋焼とはどんな焼き物ですか?
1666年(寛文6年)に金沢で始まった茶道具の焼き物です。ロクロを使わず手とヘラで形を作ることと、飴色の「飴釉(あめゆう)」が特徴です。現在は十一代大樋長左衛門が受け継いでいます。
大樋焼と楽焼の違いは何ですか?
初代大樋長左衛門は京都の楽家四代・一入の弟子で、大樋焼は楽焼の流れをくむ唯一の脇窯とされています。楽焼が黒や赤の茶碗で知られるのに対し、大樋焼は楽家から贈られたと伝わる飴釉の飴色が代表的な色です。土は金沢郊外の大樋村(現在の金沢市大樋町)のものを使ったのが名前の由来です。
大樋美術館の料金と開館時間は?
開館は9:00〜17:00、年中無休です(改修工事などによる臨時休館があります)。入館料と抹茶の料金は2026年4月に改定されました。最新の金額は大樋美術館公式サイトの「アクセス」ページで確認できます。
大樋美術館に駐車場はありますか?
来館者用の駐車場は1台分だけで、予約はできません。金沢駅からバスで約15分、北鉄バス「橋場町」停留所から徒歩1分なので、バスの利用が便利です。
大樋焼は通販で買えますか?
公式サイトの販売ページで作品を見て、メールか電話で注文できます。送料はメールで知らせてもらえます。海外へのお届けもメールで相談できます。一点ものが多いため、店頭で先に売れてしまうこともあります。
大樋美術館は写真撮影できますか?
美術館の中の撮影は遠慮するよう案内されています。また館内は土足禁止で、スリッパで見学します。
予約は必要ですか?
4人以下なら予約なしで入館できます。5人以上の場合は、公式サイトの団体予約フォームかメールで前もって予約します。
まとめ
大樋焼は、1666年に茶人・仙叟宗室とともに金沢へ来た初代長左衛門から、360年受け継がれてきた茶道具の焼き物です。楽家から贈られたと伝わる飴釉と、ロクロを使わない手づくりの形が特徴です。
実物は、金沢市橋場町の大樋美術館と大樋ギャラリーで見られます。歴代の茶碗で抹茶をいただくこともできます。遠方からは、公式サイトで作品を選び、メールか電話で注文できます。出かける前に、臨時休館や料金を公式サイトで確認してください。



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