ドラマ『グランメゾン東京』で木村拓哉さん演じる敏腕シェフ・尾花夏樹が握っていた、あの黒く美しい包丁。実はこの包丁、木村さんのために作られたものではありませんでした。福井県越前市に伝わる伝統工芸「越前打刃物」の職人集団「高村刃物製作所」が生んだ一振りが、なぜ日本を代表する俳優の手に渡ることになったのか。その裏側にあるエピソードと、700年近い歴史を持つ越前打刃物の魅力を詳しく解説します。
木村拓哉さんが”本当に”受け取った包丁の物語
きっかけはシェフの一言だった
2019年放送のドラマ『グランメゾン東京』。料理監修を務めたのは、ミシュラン三ツ星レストラン「カンテサンス」の岸田周三シェフです。実はこの岸田シェフ自身が、福井県越前市の「高村刃物製作所」の包丁を愛用していました。木村さん演じる主人公・尾花夏樹の包丁に高村刃物製作所の特注品が使われることになったのは、この岸田シェフの縁がきっかけだったのです。
ドラマ終了後、職人から届いた3本の包丁
ドラマ放送終了後の2020年10月、高村刃物製作所の高村光一社長と、日出夫取締役・勇人取締役の3兄弟が東京を訪れました。そこで木村さんに「自宅用に」と手渡されたのが、ダマスカス模様の最高峰シリーズ「打雲・花」。筋引き・牛刀・ペティの3本セットで、柄の色はドラマ仕様と同じワインレッドにカスタマイズされていたといいます。
つまり劇中で目にしたあの包丁は、ドラマの後に木村さん自身の手元に届いた特別な一振りだったということです。役を通じて出会った包丁が、本物の愛用品になった——そんなエピソードです(福井新聞オンラインの報道より)。
映画化、そしてBS番組でも再注目
『グランメゾン東京』は映画『グランメゾン・パリ』として続編公開され、シリーズは今も注目され続けています。2026年2月4日放送のBS日テレ「冨永愛の伝統to未来」でも高村刃物製作所3代目・高村光一氏の工房が特集され、ドラマ・映画双方に出演した冨永愛さん自身も愛用者として紹介されました。
番組公式「冨永愛の伝統to未来チャンネル」より「キムタク&冨永愛ご愛用の包丁を視聴者プレゼント」ショート動画。
越前打刃物とは|日本最古級の刃物産地

※画像はイメージです。
「打刃物」とは、日本刀づくりから受け継がれた製法です。軟鉄と鋼を炉で熱し、金型を使わず職人がハンマーで叩いて一本一本形を作っていきます。型を使う量産品と違って自由な造形ができる分、大量生産には向かず、職人の技術がそのまま刃の質に直結するのが特徴です。
越前打刃物は、福井県越前市(旧・武生市)で作られる打刃物の総称です。その歴史は1337年(南北朝時代)にさかのぼります。京都の刀工・千代鶴国安が、刀剣づくりに適した土地を求めてこの地に来住し、良質な水と豊富な鉄資源に恵まれた武生に居を構えました。刀剣づくりの傍ら、地元の農民のために鎌を作ったのが、越前打刃物の始まりと伝えられています。
江戸時代には福井藩の保護政策のもとで鍛冶町・商人町が形成され、地場産業として発展。1979年には経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されました。現在も越前市には高村刃物製作所のほか、龍泉刃物など複数の工房が軒を連ね、伝統工芸士たちがそれぞれの技術を受け継いでいます。詳しくは越前打刃物協同組合の公式サイトでも紹介されています。
| 産地 | 都道府県 | ルーツ |
|---|---|---|
| 越前打刃物 | 福井県越前市 | 1337年、刀工・千代鶴国安による刀剣・鎌づくり |
| 燕三条 | 新潟県燕市・三条市 | 江戸時代の和釘づくりから発展した金属加工技術 |
| 関の刃物 | 岐阜県関市 | 鎌倉時代からの刀剣づくりの伝統 |
高村刃物製作所の包丁を選ぶ|価格帯とモデル

※画像はイメージです。
高村刃物製作所は、切れ味の鋭さと美しいダマスカス模様で、国内外のトップシェフから支持される越前打刃物の代表的な工房です。木村拓哉さんだけでなく、日本屈指の予約困難店として知られるイタリアン「バッカロダオチアイ」オーナーシェフの落合務氏も、3代目・高村光一氏の包丁の愛用者。「熟れたトマトを手で押さえずにスライスできる」ほどの切れ味と評されています。ラインナップは大きく分けて、実用性に優れた「蒼龍ブランド」シリーズと、木村さんに贈られたような美術性の高いダマスカス包丁「打雲・花」シリーズがあります。
実用性重視の「蒼龍ブランド」は、V10鋼を使った三徳包丁・牛刀クラスでおおよそ2万円台からが目安です。木村さんに贈られた「打雲・花」のようなダマスカス模様の美術性の高いシリーズは、これより上のプレゼント向け価格帯になります。V10鋼スペシャルモデルには名入れができるものもあり、贈り物としても選ばれています。
長く使うためのお手入れ・研ぎ方・保管方法
高村刃物製作所の包丁はV10鋼などのステンレス系鋼材を使っているため、鋼(炭素鋼)の和包丁ほど神経質なお手入れは不要です。ただし「錆びにくい」だけで「錆びない」わけではないので、基本を押さえておくと長く切れ味を保てます。
日常のお手入れ
使用後はスポンジと中性洗剤で洗い、水分をしっかり拭き取ってから保管するのが基本です。特に使い始めの新しい包丁や、酸・塩分の強い食材を切った後は錆びやすいため、放置せずすぐに洗うことを心がけましょう。
家庭での研ぎ方
切れ味を保つには、月1回程度を目安に中砥石で軽く研ぐのがおすすめです。より鋭い刃を求める場合は仕上げ砥石も使います。砥石は使う前に10分ほど水に浸して水を含ませ、力を入れすぎず一定の角度を保って研ぐのがコツです。自宅で研ぐ場合、シャプトンの「プロクロマク セラミックシャープニングストーン」1000番のような中砥石が扱いやすくおすすめです。自宅に砥石がない場合は、家庭用のシャープナーで簡易的にお手入れする方法もあります。研ぐ手間自体を減らしたい方向けに、燕三条×関コラボの自動研磨ケース付き包丁「研澄(TOGISU)」のような新しい選択肢も登場しています(別記事で詳しく紹介予定)。
保管方法
包丁同士や他の金属製品と刃が触れ合わないよう、専用の鞘やナイフスタンドを使って保管しましょう。水気のない場所に置くことも大切です。小さなお子さんの手が届かない場所に保管することも忘れずに。
包丁のお手入れ全般については、バーミキュラ キッチンナイフの記事でも研ぎ方・お手入れのFAQを扱っているので、あわせてご覧ください。
手に入れる方法
購入できる店舗・オンラインショップ
高村刃物製作所の包丁は、高村刃物製作所の公式サイトのほか、楽天市場をはじめとするオンラインショップで購入できます。名入れサービスに対応したモデルもあり、プレゼントとしても人気です。
ふるさと納税でも手に入る
高村刃物製作所の包丁は、福井県越前市のふるさと納税返礼品としても複数のモデルが用意されています。「蒼龍ブランド」のV10スペシャル三徳包丁やクロマックス三徳包丁などが対象です。詳しくはさとふる「高村刃物」検索結果でご確認ください。
よくある質問
木村拓哉さんが実際に使っているのはどの包丁ですか?
ドラマ『グランメゾン東京』の劇中で使用されたのは撮影用の特注品ですが、木村さん個人が受け取ったのは、2020年10月に高村刃物製作所から贈られたダマスカス包丁「打雲・花」(筋引き・牛刀・ペティの3本セット、柄はワインレッド)です。
越前打刃物とはどんな伝統工芸ですか?
福井県越前市で1337年(南北朝時代)に始まったとされる、日本最古級の刃物産地です。京都の刀工・千代鶴国安が刀剣制作の適地を求めて武生に来住し、地元農民のために鎌を作ったのが起源とされています。1979年に経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されました。
高村刃物製作所の包丁はどこで購入できますか?
楽天市場などのオンラインショップのほか、ふるさと納税の返礼品としても複数のモデルを入手できます。価格帯はモデルによって数万円台からとなっています。
越前打刃物は燕三条や関の刃物と何が違いますか?
いずれも日本を代表する刃物産地ですが、越前打刃物は南北朝時代の刀鍛冶にルーツを持つ最古級の産地である点が特徴です。燕三条(新潟県)は金属加工全般の技術、関(岐阜県)は鎌倉時代からの刀剣づくりの伝統を背景に持ち、それぞれ異なる歴史的背景から発展しています。
高村刃物製作所の包丁のお手入れ・研ぎ方は難しいですか?
V10鋼などのステンレス系鋼材を使っているため、鋼の和包丁ほど神経質なお手入れは不要です。使用後は水気を拭き取って保管し、月1回程度を目安に中砥石で軽く研ぐと切れ味を維持できます。
自分で研ぐのが不安な場合はどうすればいいですか?
メーカーを問わず郵送で研ぎ直しを依頼できる専門店もあります。例えば石川県のふくべ鍛冶「ポチスパ」(1本約3,000円〜の定額パック)、三重県の月山義高刃物店、大阪・堺の實光刃物などが知られています。他メーカー品の受付可否は依頼前に各店へ確認してください。
まとめ
ドラマの中の小道具のはずが、放送終了後に本物の贈り物となった木村拓哉さんの包丁。そのきっかけを作ったのは、福井県越前市で700年近く受け継がれてきた越前打刃物の技術と、それを愛用する一人のシェフの縁でした。高村刃物製作所の包丁は、オンラインショップやふるさと納税を通じて、誰でも手に入れることができます。


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