「漆器って、電子レンジや食洗機が使えないから面倒……」——そんなイメージを覆す挑戦が、福井県鯖江市で始まっています。
大手アパレルEC企業「ZOZO」の研究開発チームと、創業230年の老舗漆器店「漆琳堂(しつりんどう)」が手を組み、天然漆のみで電子レンジ・食洗機に対応した漆器「URUSHICA(うるしか)」を開発しました。この記事では、越前漆器の歴史・特徴から、話題のURUSHICA、今すぐ購入できる食洗機対応シリーズ、輪島塗との違いまで詳しく解説します。
越前漆器とは|1500年の歴史を持つ「実用漆器」の産地
越前漆器は、福井県鯖江市の河和田(かわだ)地区を中心に作られてきた漆器です。継体天皇の時代(約1500年前)、片山集落の男が壊れた冠の修理を漆器職人に依頼したところ、その仕上がりの見事さに感動し、漆器づくりを奨励したのが始まりと伝えられています。
越前漆器の最大の特徴は、堅牢な下地作りの技術にあります。木地に生漆を染み込ませ、砥の粉などを丁寧に重ねる下地の工程が特に厚く、傷や熱に強い頑丈な仕上がりになるのが強みです。この耐久性の高さから、毎日酷使される料亭・旅館・ホテルなどの業務用漆器(お椀・お盆・重箱など)で全国トップクラスのシェアを獲得し、「使われてこそ価値がある漆器」という実用性重視の産地文化を築いてきました。
うるしの里会館に隣接する職人工房での実演の様子。木地製作・塗り・加飾の分業制と、その集大成である「越前塗山車」も紹介されています。
越前漆器と輪島塗の違い
同じ北陸の漆器でも、越前漆器と輪島塗では強みが異なります。
| 越前漆器(福井) | 輪島塗(石川) | |
|---|---|---|
| 最大の特徴 | 堅牢な下地・実用性重視 | 地の粉下地による圧倒的な堅牢さ、沈金・蒔絵の加飾 |
| 強みの分野 | 業務用漆器(料亭・ホテル向け)で国内トップクラス | 高級贈答品・美術工芸品 |
| 価格帯 | 比較的手頃なものから高級品まで幅広い | 高価格帯が中心 |
越前漆器の種類と価格帯|普段使いはいくらから?
URUSHICAのような新素材の漆器だけでなく、越前漆器には昔ながらの実用漆器も数多くあります。普段使いのお椀・お盆であれば、比較的手頃な価格から手に入るのも魅力です。
| 種類 | 参考価格 | 用途 |
|---|---|---|
| 汁椀(量産・普及品) | 1,000円台〜 | 日常使い |
| 汁椀(職人仕上げ) | 3,000〜10,000円台 | ギフト・長く使う一品 |
| お盆・トレー | 2,000円台〜 | 日常使い・ギフト |
| 重箱 | 10,000円台〜 | お正月・お祝い事 |
現地ではうるしの里会館(鯖江市河和田地区)に、越前漆器協同組合加盟の複数メーカーの製品が集まっており、実際に手に取って比較できます。オンラインでは各メーカーの公式サイトのほか、楽天市場・Amazonでも幅広い価格帯の越前漆器が購入可能です。
老舗「漆琳堂」の挑戦|230年続く漆器店が挑む新素材開発
今回URUSHICAを共同開発した漆琳堂は、1793年(寛政5年)創業、約230年の歴史を持つ越前漆器の老舗です。伝統的な漆器づくりを守りながらも、「aisomo cosomo」「RIN&CO.」といった現代的なブランドを展開し、若い世代にも漆器を届ける取り組みを続けてきました。

今回のZOZO NEXTとの共同研究は2025年2月にスタート。2026年1月には都市型クリエイティブフェス「TOKYO PROTOTYPE」で試作品が初公開され、耐久性評価・検証を経て2026年8月4日に受注販売が始まりました。
ZOZO NEXTとの共同開発「URUSHICA」|天然漆で電子レンジ・食洗機対応を実現
「URUSHICA」最大の革新は、化学塗料を一切使わず、天然漆のみで耐熱樹脂への密着を実現したことです。これは従来技術的に難しいとされていた課題で、漆琳堂の職人が刷毛で丁寧に漆を塗り重ねる伝統的な製法を守りながら、電子レンジ(500W・2分以内)・食器洗浄機への対応を両立させました。
URUSHICAは、ZOZO NEXTが立ち上げた伝統工芸×先端技術プロジェクト「呼色(よびいろ)」の第一弾商品として販売されています。

| 商品 | 価格(税込) |
|---|---|
| 多用椀 | 14,850円 |
| 深鉢 | 20,350円 |
| 片口酒器 | 14,300円 |
| 猪口 | 10,450円 |
※受注生産のため、注文確定後の製作完了次第の発送となります。最新の価格・在庫状況は「呼色」公式サイトでご確認ください。
URUSHICAは「呼色」プロジェクトの第一弾
実はURUSHICAは単独の商品ではなく、ZOZO NEXTが全国の工芸産地とともに進める「呼色」プロジェクトの一つです。呼色は、光・香り・温度といった日常の微細な変化を「色」として捉え直す取り組みで、secca inc.(花瓶・クロック)、名尾手すき和紙株式会社(佐賀県・和紙)、博多織など全国各地の工芸ともコラボしています。ZOZO NEXTは以前から東京大学や西陣織「細尾」との共同研究にも取り組んでおり、呼色はその発展形として位置づけられています。
出典:呼色(YOBIIRO)公式サイト、KOGEI STANDARD
実はもう買える|食洗機対応の「RIN&CO.」越前硬漆シリーズ
「URUSHICAが気になるけれど、受注生産で少し先になりそう……」という方には、同じ漆琳堂が手がけるブランド「RIN&CO.(リンアンドコー)」がおすすめです。「越前硬漆(えちぜんこうしつ)」というシリーズ名で展開されており、URUSHICAと同じ「日常づかいできる漆器」というコンセプトを一足先に形にした、食洗機対応の漆器です。
ボウルや丼など普段使いしやすいアイテムが揃っており、楽天市場でも購入できます。※RIN&CO.は食洗機対応ですが、電子レンジ対応はURUSHICAの特徴です。ご購入の際はご注意ください。
「RIN&CO.」は北陸の産地をまとめるセレクトブランド
RIN&CO.は「Reason In NorthLand & Co.」の略で、”暮らしにひとつ、北のものを”をスローガンに、北陸の産地・職人の手仕事を暮らしに取り入れることを提案するブランドです。越前硬漆(漆器)だけでなく、石川県の九谷焼を使った磁器食器「白九谷」、木製のお盆・お箸などの「越前木工」も展開しており、漆琳堂が北陸の他産地ともつながりながら育てているセレクトブランドです。
九谷焼についてもっと知りたい方はこちら。
よくある質問
Q. 越前漆器とはどんな漆器ですか?
越前漆器は福井県鯖江市の河和田地区を中心に作られる、約1500年の歴史を持つ漆器です。堅牢な下地作りに定評があり、業務用漆器(料亭・ホテル向け)の国内シェアの多くを占める産地としても知られています。
Q. 越前漆器の普段使いの価格帯はどのくらいですか?
量産品の汁椀であれば1,000円台から、職人仕上げのものでも3,000〜10,000円台が中心です。10,000円台〜が中心の輪島塗と比べると、日常使いしやすい価格帯の製品が多いのも越前漆器の特徴です。
Q. URUSHICAとは何ですか?
URUSHICA(うるしか)は、福井県鯖江市の老舗漆器店「漆琳堂」とZOZO NEXTが共同開発した漆器です。天然漆のみで耐熱樹脂への密着を実現し、化学塗料を使わずに食器洗浄機・電子レンジ(500W・2分以内)に対応しています。2026年8月4日から受注販売が始まりました。
Q. URUSHICAはどこで買えますか?
URUSHICAはZOZO NEXTの新プロジェクト「呼色(よびいろ)」の公式サイトで受注生産・販売されています。注文確定後、製作完了次第の発送となります。
Q. 漆琳堂の漆器はURUSHICA以外にも買えますか?
はい。漆琳堂が手がけるブランド「RIN&CO.(リンアンドコー)」の越前硬漆シリーズは、すでに食洗機対応の漆器として楽天市場でも購入できます。URUSHICAと同じ「毎日使える漆器」というコンセプトを、先行して形にしたシリーズです。
Q. 越前漆器と輪島塗の違いは何ですか?
越前漆器は堅牢な下地作りと業務用漆器で培った実用性が強みで、比較的手頃な価格帯の製品も多いのが特徴です。輪島塗は「地の粉」を使った下地による圧倒的な堅牢さと沈金・蒔絵の華やかな加飾が特徴で、高級贈答品としての位置づけが強い産地です。
まとめ
| 産地 | 福井県鯖江市(河和田地区) |
| 歴史 | 約1500年 |
| 特徴 | 堅牢な下地作り・業務用漆器で国内トップクラスのシェア |
| 話題の動き | 老舗「漆琳堂」×ZOZO NEXTが「URUSHICA」を共同開発(2026年8月受注開始) |
| 今すぐ買えるシリーズ | RIN&CO.(越前硬漆・食洗機対応) |
「漆器は特別な日のもの」というイメージは、今まさに変わろうとしています。230年の伝統と最新技術が交わる越前漆器の”今”を、ぜひ手に取って感じてみてください。



コメント