「越前焼って備前焼と何が違うの?」「日本六古窯ってそもそも何?」——そんな疑問に答える完全ガイドです。福井県越前町で約850年前から作られてきた越前焼は、釉薬を使わない素朴な風合いが魅力の焼き物。近年はEXILE・BEAMS JAPAN・箔一といった有名ブランドとのコラボレーションでも話題になっています。
この記事では、越前焼の歴史・特徴から、日本六古窯の中での立ち位置、話題のコラボ商品、購入方法まで詳しく解説します。
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越前焼とは|850年続く”庶民のうつわ”
越前焼は、福井県丹生郡越前町で作られる陶磁器です。日本六古窯(にほんろっこよう)の一つに数えられ、平安時代末期・約850年前に誕生したと伝えられています。現在までに200基以上の古窯跡が発見されており、平安〜鎌倉・室町・江戸時代を通じて生産が続けられてきました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 産地 | 福井県丹生郡越前町 |
| 起源 | 平安時代末期(約850年前) |
| 指定 | 国指定伝統的工芸品/日本六古窯として日本遺産認定(2017年) |
| 代表器種 | 壺・甕(かめ)・すり鉢 |
| 特徴 | 釉薬を使わない焼き締め、自然釉(灰釉) |
北前船で全国へ、そして一度は衰退
越前焼は、水や穀物を保存する甕、酒や油を貯蔵する徳利、すり鉢など、台所で使う実用品を中心に作られてきました。室町時代後期には北前船(きたまえぶね)によって北海道から鳥取県まで広く運ばれ、全国的に普及します。
しかし明治時代に入ると近代化により甕や壺の需要が激減。他の古窯が江戸時代以降に茶器などの高級品も焼き始めた一方、越前焼は一貫して日用雑器を作り続けたため、衰退の道をたどりました。転機が訪れたのは第2次世界大戦後。古窯跡調査によって歴史的価値が見直され、1970年(昭和45年)に越前陶芸村が建設されると窯元が急増し、越前焼は復興を遂げました。
越前焼の特徴|釉薬を使わない自然の美
越前焼最大の特徴は、釉薬(ゆうやく)を使わずに焼かれる「焼き締め」であることです。絵付けもされないことが多く、陶器と磁器の中間的な存在である「炻器(せっき)」に分類されます。
- 鉄分を多く含む土——越前の土は地元特有の「赤べと」「青ねば」「太古土(たこど)」という粘土を混ぜ合わせて作られ、耐火度が高く焼き締まりが良いのが特徴
- 自然釉(灰釉)——高温(1,200〜1,300度)で焼く際、薪の灰が器にかかり自然に溶けてできる釉。景色として一つひとつ表情が異なる
- 飽きのこない茶褐色——素朴で頑丈な、日常使いに適した風合い
製作工程では、円形の器はろくろで、角形や複雑な形は石膏型に泥漿(でいしょう)を流し込む方法で成形。ひも状の粘土を積み上げていく「輪積み成形」も越前焼の伝統的な技法です。

日本六古窯を徹底比較|越前焼と備前焼・信楽焼の違い
「日本六古窯」とは、平安〜鎌倉時代に誕生し、現在まで生産が続く6つの窯業地の総称です。2017年には日本遺産にも認定されました。
| 産地 | 都道府県 | 特徴 | 代表的な製品 |
|---|---|---|---|
| 越前焼 | 福井県越前町 | 鉄分の多い土・自然釉、素朴な茶褐色 | 壺・甕・すり鉢 |
| 瀬戸焼 | 愛知県瀬戸市 | 釉薬を使う多彩な作風、六古窯で唯一の施釉陶器 | 食器全般 |
| 常滑焼 | 愛知県常滑市 | 朱泥(しゅでい)の急須が有名 | 急須・植木鉢 |
| 信楽焼 | 滋賀県甲賀市 | たぬきの置物で有名、大物づくりが得意 | たぬき像・植木鉢 |
| 丹波焼 | 兵庫県丹波篠山市 | 赤土部釉による丹波土の風合い | 壺・すり鉢 |
| 備前焼 | 岡山県備前市 | 釉薬を使わず、緋色(火色)や「窯変」の模様が豊か | 徳利・ぐい呑み |
越前焼と特によく比較されるのが備前焼です。どちらも釉薬を使わない「焼き締め」ですが、越前焼は鉄分を含む越前特有の土と自然釉による茶褐色の落ち着いた風合いが特徴なのに対し、備前焼は緋色の変化や「窯変」と呼ばれる炎の模様の豊かさが持ち味です。産地間で優劣があるわけではなく、それぞれ異なる土と焼成方法が生み出す個性の違いといえます。
六古窯すべての違いをもっと詳しく知りたい方は、以下の動画もあわせてご覧ください。
動画:「うつわもん」チャンネルより。3:25から越前焼のパートが始まります。
話題|有名ブランドとのコラボレーション
越前焼は近年、伝統工芸の枠を超えたコラボレーションで話題になっています。
EXILE THE SECOND 橘ケンチ氏プロデュース|LDH apparel×越前焼
アパレルブランド「LDH apparel」とのコラボレーションでは、EXILE THE SECOND・橘ケンチ氏の提案により、24KARATSコラボ酒器「Sakazuki Set」が誕生。EXILEの新曲「RED PHOENIX」を彷彿とさせる印象的な一品として採用され、令和3年元旦にはEXILE TRIBEメンバーにも配布されたという逸話があります。
BEAMS JAPANが惚れ込んだ”薄作り”|フリーカップ 灰釉
大手セレクトショップ「BEAMS JAPAN」とのコラボでは、灰釉のフリーカップをOEMで製作。「FUKUI TRAD」プロジェクトでの制作をきっかけに、担当バイヤーが越前焼の繊細で薄い作りに感動したことから実現しました。カップの底面にはビームスのロゴがレーザー加工で施されています。2021年に新宿・渋谷・京都の各店舗で限定販売された実績で、現在は入手が難しい商品です。
金沢の金箔メーカーとのコラボも|箔一×越前焼
石川県の大手金箔メーカー「箔一」とのコラボでは、オリジナル盃「本金箔 水月 SUIGETSU」をOEMで製作。越前焼の薄作りに食用グレードの最高級の本金箔を施した、視覚的にもドラマチックな逸品です。盃・味盃・小猪口・猪口・香盃など複数のラインナップがあり、現在も購入できます。金沢箔についてもっと知りたい方は、金箔貼り体験 金沢 完全ガイドもあわせてご覧ください。
▶ 水月シリーズ|箔一公式サイト
▶ 本金箔 水月 盃|箔一公式ショップ(楽天市場)
福井発の新プロジェクト「F-TRAD」|HARIMON MUG
福井県内の伝統工芸職人と県外デザイナーが協働するプロジェクト「F-TRAD」からは、越前焼作家・吉田雄貴氏(豊彩窯)とデザイナー鈴木康洋氏・光井花氏によるマグカップ「HARIMON MUG」が誕生しました。越前焼の伝統技法「貼文(ちょうもん)」——甕に模様を貼りつける技法——を再現した現代的なデザインが特徴で、同シリーズには手鏡「HARIMON MIRROR」もあります。
▶ HARIMON MUG 越前焼 マグカップ|SAVA!STORE公式
※現時点で楽天市場・Amazonへの出品は確認できませんでした。
動画:福井県公式チャンネルより。「F-TRAD」プロジェクトとHARIMON MUGが紹介されています。
中田英寿氏プロデュース「にほんもの」が紹介した極薄の盃
元サッカー日本代表・中田英寿氏が代表取締役を務める株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANYが手がけるメディア「にほんもの(NIHONMONO)」では、越前焼の陶芸家・岩間竜仁氏(竜仙窯)による「越前うすくち盃」が取り上げられました。飲み口の厚みをわずか1ミリに仕上げた究極の薄づくりが特徴で、福井の酒蔵「黒龍酒造」もこの技術に着目し、オリジナル盃「黒龍 平杯」の制作を依頼しています。
AKOMEYA TOKYOとのコラボ|最年少職人が手がける「杉形碗」
セレクトショップ「AKOMEYA TOKYO」の飯碗シリーズには、越前焼最年少の職人・吉田雄貴氏(豊彩窯)——前述のHARIMON MUGを手がけた作家でもあります——による「杉形碗(すぎなりわん)」がラインナップされています。杉の木を逆さにしたような直線的な形状で、手びねりのろくろ成形と「削り」による加飾が特徴です。
出典:NIHONMONO「越前うすくち盃」、AKOMEYA TOKYO「杉形碗」、越前焼工業協同組合「コラボ実績」、SAVA!STORE
越前焼の種類と価格帯
| 種類 | 参考価格 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 湯呑み・ぐい呑み | 1,500円〜3,000円 | 普段使いしやすい定番品 |
| 汁椀・小鉢 | 2,000円〜5,000円 | 日常の食卓に馴染む素朴な風合い |
| マグカップ(HARIMON MUGなど) | 4,000円台 | 現代的なデザイン、ギフトにも |
| 花器・壺 | 5,000円〜数万円 | インテリア・贈答用 |
| 作家物・大物 | 数万円〜 | コレクション・美術品 |
購入方法・現地情報
現地で購入・見学するなら

| 施設 | 特徴 |
|---|---|
| 越前焼の館(窯元直売所) | 越前焼工業協同組合が運営。複数窯元の商品を一堂に見られる |
| 福井県陶芸館 | 越前焼の歴史展示・陶芸教室あり(福井県丹生郡越前町小曽原) |
| 越前陶芸村 | 1970年建設。窯元・ギャラリーが集まるエリア |
🏺 越前陶芸まつり|毎年5月末に開催
越前陶芸村で毎年開催される、県内最大の陶器市です。2026年は第44回として5月30日(土)・31日(日)に開催され、越前焼が通常価格の2〜3割引で購入できるほか、バザーやさつきあげ茶会も行われました。例年5月末が目安ですが、正確な日程は毎年更新されるため、訪問を検討する際は公式サイトで最新情報をご確認ください。
福井県越前市・越前町エリアには「越前」を冠する伝統工芸が数多く集まっており、越前焼と合わせて巡ると旅の満足度がぐっと上がります。木村拓哉さんも愛用する越前打刃物とは|木村拓哉さん愛用の高村刃物製作所ガイドや、日本の紙幣にも使われる技術を持つ越前和紙とは|日本の紙幣を支えた1500年の技もあわせてご覧ください。
通販で購入するなら
コラボ商品(HARIMON MUG・水月シリーズ)の購入先は前述の各セクションをご覧ください。そのほか、越前焼全般は楽天市場・Amazonでも幅広く購入できます。
越前焼のお手入れ方法
- 使い始めは「目止め」がおすすめ——米のとぎ汁で煮沸すると、貫入(かんにゅう)からの水漏れ・におい移りを防ぎやすくなります
- やわらかいスポンジで手洗いし、しっかり乾燥させる
- 急激な温度変化(熱い状態から冷水をかける等)は避ける
- 電子レンジ・食洗機対応かどうかは、商品ごとに確認する(HARIMON MUGなど現代的な商品は対応品もあり)
よくある質問
越前焼とは何ですか?
福井県丹生郡越前町で作られる陶磁器です。日本六古窯の一つに数えられ、平安時代末期(約850年前)から続く歴史を持ちます。国指定伝統的工芸品・日本遺産にも認定されています。
越前焼と備前焼の違いは何ですか?
どちらも釉薬を使わない「焼き締め」の焼き物ですが、産地と風合いが異なります。越前焼は福井県越前町で作られ、鉄分の多い土と薪の灰による自然釉が特徴の茶褐色の器。備前焼は岡山県備前市で作られ、緋色(火色)の変化や「窯変」と呼ばれる模様の豊かさで知られています。
日本六古窯とは何ですか?
平安時代から鎌倉時代にかけて誕生し、現在まで生産が続く6つの窯業地の総称です。愛知県の瀬戸焼・常滑焼、福井県の越前焼、滋賀県の信楽焼、兵庫県の丹波焼、岡山県の備前焼が該当します。2017年には「日本六古窯」として日本遺産に認定されました。
越前焼は電子レンジや食洗機で使えますか?
多くの越前焼は釉薬をかけない焼き締めの器ですが、電子レンジ・食洗機に対応した商品もあります。特にHARIMON MUGのような現代的なブランド商品は日常使いを意識して作られているものが多いため、購入時に商品説明で対応可否を確認してください。
越前焼はどこで買えますか?
現地では窯元直売所「越前焼の館」や福井県陶芸館、越前陶芸村内のショップで購入できます。毎年5月末に開催される「越前陶芸まつり」では通常価格の2〜3割引で購入可能です。通販では楽天市場・Amazonのほか、公式オンラインショップでも取り扱いがあります。
まとめ
| 産地 | 福井県丹生郡越前町 |
| 歴史 | 約850年(平安時代末期〜) |
| 特徴 | 釉薬を使わない焼き締め・自然釉、鉄分を含む茶褐色の土 |
| 指定 | 国指定伝統的工芸品/日本六古窯として日本遺産認定 |
| 話題 | EXILE・BEAMS JAPAN・箔一とのコラボ、F-TRAD「HARIMON MUG」 |
| 価格帯 | 1,500円〜(湯呑み・ぐい呑みなど日常使いから) |
越前焼は、850年の歴史を持ちながらも、EXILEやBEAMS JAPANとのコラボで新しい表情を見せ続けている焼き物です。素朴な一品から現代的なマグカップまで、自分のスタイルに合った越前焼を探してみてください。
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